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また、明日ね

4 上品な女性

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「じゃ、、行ってくるから」
「うん、気を付けてね」

類は、今日から仕事が始まる
あの一件以来、今まで養生も兼ねて休みを貰っていたが、そろそろそうもいかなくなった

正式な入社式は4月1日だが、その前に事前研修と言う物がある
もちろん、類はそれを飛び越えて、既にきちんとした仕事が与えられている
これもジュニアとしての宿命だと諦めていたが、今は進んでやるつもりでいる

と言うのも、牧野との未来のためだ

一年後には正式に結婚したい
その為に、両親にあれこれと文句を言われたくはない

もちろん、牧野を家に住まわせ、同棲する事の許可は得ている
だが、仕事が疎かになっては、同棲もそして結婚も反対されるだろう
そんな事が無いように、仕事はしっかり熟したいと思っている

「出かける時には、必ずSPをつけるんだよ?」
「うん、、分かった」

まだ結婚した訳じゃないが、これは牧野にも言い聞かせた

<俺がSPを付けた事で、今度はあんたにその矛先がいくかもしれないだろ?
まだ婚約や結婚をしたわけじゃ無いけど、万が一あんたが誘拐されたらと思うと>

そう言えば、牧野は素直に頷いた
やはり、あの一件は、大きな教訓となったし、牧野の心に大きな傷を残したのかもしれない

「じゃあ、、」
「気を付けてね」
「あい、、」

類は、花沢の車に乗り込む
そこには、運転手の他にSPも乗り込んでいる

それを見て、つくしはホッとしながら、その車が見えなくなるまで手を振り続けた



「さてっ、、と」

つくしは、クルッと後ろを向き、そこにいる佳代に微笑みかける

「佳代さん。 昼前から出かけたいのですが良いですか?」
「えぇ、、構いませんが、、」

そんな佳代に、小さな声で告げる

「明日は類の誕生日なので、何かプレゼントを探しに行ってきます」

それを聞いた佳代は微笑む

「もちろん内緒にしておいて下さいね」
「畏まりました。 お気を付けて」

こうして10時頃、買い物へ出かけた

デパート内の店を一つ一つ巡るが、何を贈って良いのか悩む
何をプレゼントしても喜ぶとは思うのだが、使って貰えるものをプレゼントしたい

特に今は、彼氏だ
その辺の物という訳にもいかない

彼氏、、か、、

ふと、元彼を思い出す

名ばかりの彼氏だったが、それでも誕プレは毎年贈っていた
初めは、届いたその日に連絡があったが、それも二年目以降には無くなった
そしてあたしも、プレゼントが届いてもメールで返事をしていただけだ

時差があるし、仕事をしているかもしれない
何時頃なら連絡して良いのか分からない
思えば、気を遣ってこちらから連絡をしなかったし、あいつも仕事が忙しくて連絡を怠った

それでも、心は繋がっていると思っていたが、、
実の所、あたしの方がいつの間にか心変わりしていた

今なら分かる
あいつが約束の4年を覚えていてくれた時、嬉しいと思うと同時に困惑した
だから、あいつのお母さんの事を持ち出して自信が無いと告げた

あいつが身体の関係を持とうと訴えた時、怖いと感じ全身が拒絶した
だから、その話を途中で遮った
あの時、、あいつとの関係よりも、類の方が心配だった
それが事実だ

あいつに怒鳴られたが、結果的に自分の気持ちは類に向いていたと気が付いた
親友と思われていると思っていたが、実は類も好きだったと知り嬉しかった
でも、、あいつには申し訳ない事をしたと思う

こうして、あいつの事を思い出すのは、今が初めてだ

あいつと喧嘩別れした後からは、ほんとに類の事しか頭になかった
見つかってからも、類が目を覚ますまでは気が抜けなかった
そして退院と同時に、類の家に同棲する事になって、今度は類との生活で頭が一杯だった

夜なんて、心臓バクバクで、ドキドキして、、
でも、それもすべて心地よい緊張で、、
そうなっても良いとさえ思っている

あいつには、、恐怖しか湧かなかったのに、、

ほんと、、あたしって最低の彼女だった
あいつは、ずっとNYで頑張っていたのに、、

ごめんね、、
もう面と向かって謝る事は出来ないけれど、どうか幸せになって欲しい
って、あたしが言うのもおかしいんだろうけど、、


つくしは、頭を数回横に振る
そして、本来の目的である、類の誕生日プレゼントを真剣に考え始める

「何でも持っている人だから困るんだよね
凄く喜んでもらえて、使って貰えて、、って、何かないかな?」
「何かお探し?」

つくしの独り言に、返事が返って来る
店員でも来たのだろうか?と、ずらりと並んだネクタイを見ながら問う

「あのですね。 彼の誕生日プレゼントなんですけど、、どんなのが良いか分からなくて。
社会人になるので、無難な所でネクタイかな?と思うんですけど、ネクタイって趣味がありますよね?」
「まあ、、そうね。 ネクタイって、身体の中心にあり、一番目がいく所でもあるし、、難しいわね。 
それに、彼は凄く趣味にうるさいタイプじゃない?」

「そうなんです! 拘りがあると言うか、、気に入った物しか身に付けないタイプで」
「ネクタイなら何本あっても構わないと思うけど、ひとえに赤と言っても、いろんな赤があるし、柄も色々よねぇ」

「そうなんです! きっと喜んでくれると思うんですけど、使って貰えないと勿体ないし、出来れば使って貰えるものを贈りたくて、、」
「なら、腕時計とかってどうかしら?」

「無理です。 そんなに予算も無くて、、」
「じゃあ安くて実用的な物で、彼が喜ぶものが良いわけね?」

「そうなんですけど、、それがなかなか思いつかなくて」
「あるじゃない!!、、若い男性、しかも彼氏が凄く喜ぶものが!!」

「そんな物があります?」
「ズバリ!! 避妊具なんてどうかしら?」

「あぁ、、避妊具ね、、、ん? 避妊、、、具?」

つくしは、パッとその店員を見る
そこには、綺麗な女性が立っている
てっきり店員と思った人物は、ただの客だと分かり、つくしは真っ赤になりながら謝る

「すみません。 てっきり、店員さんかと思ってしまって、、」
「いいえ。 私の方も、勝手に話しかけてごめんなさいね。 独り言が聞こえたので、何か困っているのかな?と思ったの、、、」

つくしの言葉に、気分を害することなく笑顔で応えてくれる女性に、つくしもホッとする

「それより、、彼氏のプレゼントを選んでいるのよね?」
「はい、、」

「その相手は、気分屋で気難しい人って事よね?」

そんな事を言ったかな?と思うが、『拘りがある』と言った記憶はある
そこから推測したのだろうか?と、つくしは気にも留めない
それどころか、相談相手が出来て嬉しい

上品そうな女性で、着ている服もどこかのブランド物だろう
そんな人なら、何か良いプレゼントを教えてくれるかもしれない
と、目の前の女性の、気さくな受け答えから感じ取る

「そうなんです! でも、先ほどの、、その、、、それは、、、」

声に出さないものの『避妊具』をプレゼントと言うのは、、と、暗に否定する

「どうして? 凄く喜ぶと思うわよ? それに若い男女なら必需品だと思うわ」
「いや、、でも、、その//////」

つくしの様子を見て、その女性はピンと来たようだ

「まさか、、まだ?」

つくしは真っ赤になりながら、しっかりと首を縦に振る
それをみて、その女性は呆然とした表情をした後、すぐにその顔を引き締める

「もしかして、、その彼が迫ってこないとか? ううん、そう言う雰囲気に持って行かないとか? もしかして、全然気が利かない人とか? それともどこか体が悪いとか? あっ、勃たないとか? 最近の若い男性には多いらしいのよねぇ。 ストレスとかで勃たないんですって! もしかしてそう言った類の病気でもあるのかしら?」

話しが変な方向へ進んでいる事に、つくしは焦る
とにかく場所が悪い
ここは、紳士服売り場で、今も店員さんがすぐ傍で待機している

「あのっ、、」
「ここではなんですから、場所を変えましょう? お暇よね?」

つくしがそれを告げる前に、女性が先に移動を申し出た
それにホッとする

「はい、、」
「じゃ、ランチでもしながら、お話しましょう? 少しはアドバイスが出来ると思うわ」

時間なら沢山ある
それに丁度お昼時で、何処かでランチでも食べたいと思っていた
それに、アドバイスは欲しい
すごく綺麗で上品そうな女性だ
きっと、、上流階級の女性だろうし、自分には知らない良い品を知っているのかもしれない

「はい。 あっ、でも、、あまり持ち合わせが無くて、安価な場所でお願いできますか?」

つくしの言葉に、女性は微笑む

「えぇ、、そうしましょう」

こうして二人は、場所を移すことになった




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11 Comments

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2018-03-26 09:25

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2018-03-26 09:33

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2018-03-26 09:54

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-03-26 10:03

そうです! あの方です(笑)

あの方は、何の目的でここに?
でも、それを勧める辺り、、決して邪魔をするつもりはない様子
どちらかと言うと好印象なのでしょうね

さて、、何も知らないつくしちゃんは、あの方に何を話すのでしょう?
後でそれに気付いた時、穴があったら入りたい、、にならなければよいのですが?

明日もお楽しみに~

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-03-26 10:07

こちらもすっかり春めいて、ポカポカとした陽気です
まだ蕾なんですが、今週末には見ごろになるのでは?と思っています

さてつくしちゃん、、
綺麗な女性に色々と話してしまいましたが、、きっとこの方、あの方ですよ?

でも、デパートで話しかけられたら店員としか思わないですよね?
それ以外の人が、話しかけるはずがない!と言う先入観から、いろいろ話してしまいましたけど、、

どうなる?
場所を移動するようだけど、早く気付いた方が良いかも?なんですけどね(笑)

明日もお楽しみに

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りおりお
Re: ゆきた~様

りおりお  

2018-03-26 10:17

あの方の登場ですよねぇ

つくしちゃんも、あの方の気品や頼りになりそうな感じ?から、素直についていく事に
確かに類君にバレたら怒られるかも?
でも、つくしちゃんの傍にはSPがいるはずですから、万が一にも変な人なら寄ってこない?と言う安心感もあるのかも?

それを考えれば、そのSPたちがスルーする相手なんですから、、あの方以外いないでしょ?と思わないかなぁ?
まあつくしちゃんですしね

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2018-03-26 11:03

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2018-03-26 11:28

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りおりお
Re: てる~様

りおりお  

2018-03-26 14:47

そうだと思います
だからまだ、名乗っていないんでしょうね

場所を変えて、色々と聞き出したいんでしょう
息子のアレコレって、なかなか聞ける物では無いですしね

さて、、つくしちゃんはいつ気づく?
お楽しみに

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-03-26 14:50

そうですよね
彼女以外、つくしちゃんに近付けないのでは?
だって、類君がSPを配置しているんだから、、

さて、彼女はどう言う目的でここに来たのでしょう?

そしてまだ何も知らないつくしちゃんは、どうなるのでしょう?

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りおりお
ミキッ~様

りおりお  

2018-03-30 15:14

つくしちゃん、、その女性はあの方ですよ~~
さて、何の目的でつくしちゃんに近づいたのか?
鈍感つくしちゃんは、彼女の正体に何時気がつくのか?

是非お楽しみに~~

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