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また、明日ね<完>

6 応接室にて

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「ただいま戻りました」

つくしは、玄関口で挨拶をする
その後ろに、デパートでお世話になった女性も連れている

あの後、ネクタイを購入しようとしたところ、女性が株主優待カードがあると言って店員と席を外した
そして戻ってきた時には、半額ぐらいに値段が下がっていた

ランチも、割り勘で、、と言ったにもかかわらず、誘ったのは自分だからと女性が出してくれた

何から何までお世話になり、あまりにも申し訳なく、せめて家まで送らせて欲しいと申し出た所、それなら、、となった
そこで住所を聞くと、偶然にも花沢邸のすぐ近くだと分かった
しかも今、家族の者が仕事に行っているため、夜まで一人で寂しいと言う

なら、、自分も居候の身だが、お世話になった手前、お茶でも飲んで貰えれば、、と思い、すぐに佳代に連絡を入れ、了承を貰い連れてきたという訳だ


「お帰りなさいませ、、そちらが、、」

佳代は、つくしの後ろの女性を見てピタリと動きを止める
確かに電話で、『デパートで女性と意気投合し、お世話になったので家に連れて行き、お茶を御馳走したい』と言われ、二つ返事で了承した

だが、、この女性は、、、
その女性は、口元に指を当て、『し~』と、佳代に、、促している

「あっ、佳代さん。 この方とデパートで偶然出会って、意気投合したんです。 それでランチも奢ってもらって、プレゼントも優待カードで割引して貰って、、とにかく良くして頂いて。 あのっ、、家が近くらしいんですけど、、もしかしてお知り合いとかだったりします?」

知っているもなにも、、、
この方は、、、
だが佳代は、女性のジェスチャー通りに、余計なことは言わない

「はい、、よく存じ上げております」

佳代が、良く知っていると言う言葉に、つくしはホッと安堵する
素性が良く分かっている人ならば、安心して上がって貰うことが出来る

「じゃ、、あのっ、、上がって頂いても良いですか?」
「えぇ、、もちろんです」

それを聞き、つくしは振り返る

「あのっ、、実は私も居候の身でして、、大きな顔は出来ないんですが、上がって休まれて下さい。 すぐにコーヒーを入れますので」
「私が、入れますので、、つくし様も、ごゆっくりされて下さい」

佳代は、急いで付け足す

「ありがとうございます。 じゃ、、応接間に案内しますね」
「はい、、」

女性も、佳代に微笑みながら、、
「お久しぶりです」
と、挨拶をし、上がりこむ

そんな女性に、どう声をかけて良いのか佳代は悩みながらも、、
「ごゆっくりなされて下さいませ」
と、声をかけた




応接間に場所を移動した後、つくしと女性は向かい合って座る

「あのっ、、実は、きちんと話していなかったんですが、、そのっ、、この家は彼の家で、、」
「つまり、、この家で同棲されているという事ね」

「そうなんです。 家が近所という事は、、その、、彼の事も知っていますよね?」
「えぇ、、良く知っているわ。 花沢類君ね」

つくしは、照れる
先程まで、その良く知っている類の話をしていた事になる
その場限りの事だと思っていたから、深く踏み込んだ相談もした
だがまさか知り合いで、類の事も良く知っているとは想定外だ

近所の噂話になっては一大事とばかり、つくしは声を潜めて女性に告げる

「あのっ、、先ほどの話しは、、ここだけの話として、、そのっ、、」

女性も言わんとしていることが分かる
かなりデリケートな部分を話し合った

「分かっているわ。 誰にも話さないわ。 特に、類君の耳に入ると、一生無視されそうだし」

それを聞き、つくしもホッと安堵する

「でも、、私とはこれからも仲良くして頂戴ね」
「もちろんです。 これからも、良き先輩としていろいろと教えていただきたいですし、相談にも乗って欲しいです」

それを聞き、女性はニンマリとする

そこに佳代がコーヒーを持って入ってきた
そして、二人の前にそれを置く

「それで、、同棲中という事ですけど、困った事とかないかしら?」
「えぇ、、全くありません」

「ここの人達は、良くしてくれる?」
「えぇ、、凄く良くしてくれます。 あたしは居候ですから、何か手伝う事は無いかと聞いても、佳代さんをはじめ皆さん口をそろえて間に合っていると言うし、、それが申し訳なくて」

「あら、、どうして?」
「だって、、三食付きで泊まらせてもらっているんですよ? 大学が始まるまでなら暇なので、何かお手伝いさせてもらった方が気が楽で」

「それは、、類君の相手だけで充分だと思っているんじゃないかしら?
こう言っちゃなんだけど、、かなり性格の悪い子でしょ? 無口で無愛想、、しかも朝も弱いし、ヘソを曲げたら仕事にも行かないんじゃないかしら? そんな類君を上手くおだてて、仕事に行ってもらうだけで充分と思っているんじゃないかしら? ねぇ、佳代さん」

突然話を振られた佳代も、どう答えて良いか分からない
ただ、、確かにそういう感じだ

もともとつくしに、何かをしてもらうつもりはないし、類を笑顔にしてくれればそれで十分だ
叶わぬ恋をしていたことを知っている
その間、辛い表情をしていた事もある
ちょっとした笑顔を見せるのは、つくしと出かける時ぐらいの物だった

それがあの一件から、ずっと笑顔だ
そしてそれがずっと続く事だけが、使用人を始め皆の願いだ

「はい。 類様をずっと笑顔にしていただけることだけが願いです。 今はほんとに嬉しそうで、幸せそうで、、それが食事にも表れ、沢山召し上がるようになられています。 
そうしますと体調も良くなると思います。 それが仕事にも繋がりますし、、全て相乗効果として現れます。 牧野様は、類様の事だけを気にかけて頂ければと思っております」

つくしは、佳代の言葉を聞きながらも、この女性が不思議でならない
どうしてこんなにも、類の事を良く分かっているのだろう
それ程、ご近所でも有名な子供だったのだろうか?

無口で無愛想、、確かに、ご近所にも挨拶すらしないだろうし、、
朝も弱いって、、これも、いつも学校に遅刻しているのを知っていたんだろうか?
まあ、花沢家の跡取りってだけで注目されるだろうし、、
一挙手一投足が、すぐにご近所の噂になっていても不思議じゃないけど、、

「という事らしいわ。 だから、、何も気にすることなく、類君がいない時はのんびりとしていれば良いのよ」

あっ、、いけない、、
話の途中だった、、と、思考を戻す

「じゃあ、、類が喜ぶような事をすれば良いんですかね?」
「たとえば?」

「えっと、、大学が休みのとき限定ですけど、料理を作ってあげるとか、、
あのっ、類は何故か私の庶民料理が好きだったので、お邪魔で無ければ台所を借りるとか、、
あっ、大学が始まれば弁当を作りたいんです! 佳代さん、台所を借りても良いですか?
そうなれば、類にも弁当を作ってあげられるし」

「えぇ、、構いませんが、、シェフにもそのように伝えておきます」
「はい。 お願いします」

それを聞いていた女性も微笑む

「まあ、お料理が出来るの?」
「えっと、、庶民料理なんですよ? ここのシェフには足元にも及ばないような料理なんですけど、、」

「その料理を、私も食べてみたいわぁ」
「是非。 でも、ほんとに庶民料理ですよ? 切り干し大根とかきんぴらごぼうとか、かぼちゃの煮物とか、卵焼きとか、、」

「そのどれも食べたことが無いわぁ。 どんな料理なのかしら、、」
「えっとですね、、」

つくしは、一つ一つの料理の説明をする
それを目を輝かせて聞き入る女性

そして佳代は、何とも不思議な光景を目にしながらも、三人分の夕食を作るよう、シェフの元へ向かった



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12 Comments

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2018-03-28 09:21

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2018-03-28 09:34

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2018-03-28 09:34

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-03-28 10:04

佳代さんもビックリの人物を、つくしちゃんが連れて来ました
しかも、つくしちゃんはその女性の素性を知らない
でも、凄く親しそうな雰囲気があり、佳代さんも嬉しいのではないでしょうか?

そして、その女性は類君の事を良く知っている
不思議に思いつつも、花沢物産の一人息子となれば、ご近所でも注目の的のはず、、
と、思う当たり、つくしちゃんの人柄ですよねぇ
そんなつくしちゃんだから、この女性も好意を抱くんでしょうね

さて、、何時正体が分かる?

明日もお楽しみに

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-03-28 10:07

つくしちゃんは気づきません
佳代さんも、連れてきた女性が、、、良く知った方で、、どう返事をすれば良いのか悩んでいます

そんなつくしちゃんと女性は、すっかり打ち解け親しそうな雰囲気
何時、正体が分かるんでしょうね

確かに、花沢物産の一人息子なら、ご近所の噂にもなるだろうし、、、と疑う事を知りません
人柄ですよねぇ
と言うか、鈍感すぎる?

スマホのテンプレを変えたんですが、どちらが見やすいですか?

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-03-28 10:12

つくしちゃんの天然っぷりが炸裂しています

でも、こうして花沢邸に連れて来ても、誰もその正体を話さないのですから、鈍感つくしちゃんに気付くはずがありません

その女性の話す類君像は、まさしく類君そのものなんですが、これもご近所の噂になっている事!と思っている
まあ、、これだけの家ならば、ご近所も注目しているはずですしねぇ

さて、正体がわからないまま、この女性と約束してしまいました
「これからも良き相談相手として、、」と、、
これで類君から、つくしちゃんを攫う事が出来る?
女性同士で楽しいひと時を過ごせそうですよねぇ
もしかして、これが目的だったのかも?

さて、、つくしちゃん、、そろそろ正体に気付いた方が良いですよぉ

明日もお楽しみに

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2018-03-28 10:44

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-03-28 12:31

こちらは如何ですか?

スマホのテンプレを色々と探し、タイトルの大きい物を選んだつもりですが、それを開くと文字が小さかったり薄かったり?
一番最初のブルーの背景にお花模様が一番見やすければ、それに変えますね

文字の大きさは、お許しくださいませ
テンプレで『文字の大きい物』と検索をかけたのですが、ありませんでした

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-  

2018-03-28 12:39

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-03-28 13:46

こちらで大丈夫ですか?
それなら、こちらにしておきましょうか?
また何かあればお知らせください

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-  

2018-03-28 14:32

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-03-28 15:47

は~い。
また何時でもお知らせくださいね。

テンプレートを変えると、気分も一新しますね
春ですねぇ
こちらは、桜が満開になりそうです
あっという間に咲きました

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