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また、明日ね

7 女性の正体

12

「ただいま」
「お帰りなさいませ」

17時過ぎに類が帰宅したが、牧野の出迎えが無い
あれ?
と思う

「牧野は?」
「それが、、」

言葉を濁す佳代に、何かがあった事が分かる

あの誘拐事件から、今日が初めての出社だった
つまり、今まで牧野とずっと一緒だったが、今日は初めて離れ離れ
ここの使用人が牧野を虐めるとは思えないが、、

「牧野に何かした?」

思わずきつい口調になったと思う
それに視線も思いの外、、、睨んでいる?

佳代は動じていないが、その隣の女性がビクッと体を震わせたのがその証拠だ

「とんでもございません。 牧野様は今、、応接間のほうに、、」
「応接間?」

誰か客人でも来たのだろうか?
それを牧野が相手してる?

でも、まだ婚約した訳でもないし、ましてや結婚している訳でもない
つまり、牧野が客人の相手をする必要など全くない

それなのに、、応接間にいるという事は、、
相手が牧野を指名した?

誰が?
近所のうるさいおばさんだろうか?

牧野を連れて出歩いた
しかも、手を繋いでいた
日頃、変わり者と思われている俺が、彼女でも出来たのか?と面白がって、牧野に何かを吹き込んでいるとか?

でもそんな相手なら、佳代が追い出すはず、、
断れないような、、そんな力のある奴か?

とにかく、、様子を見に行かなければ
万が一にも、牧野が困っていたり、悩むような事をしているのなら、、

――絶対に許さない

類は、すぐさま応接間へ向かう
すると、近づくにつれ笑い声が聞こえてくる

ホッと安堵しつつ、今度はこの不躾な客人に腹が立つ

なんで俺がいない間に来る訳?
来るんなら、俺がいる間に来いよ!!!

そんな感情から、応接間のドアの前まで来ると、ノックと同時にそのドアを勢いよく開けた

「牧野!!!!」

すると、牧野の笑い顔と共に、久しぶりに見る女性の顔が目に飛び込む

なんで、、
ここに?

そんな動揺の中、牧野の呑気な紹介が聞こえてくる

「あっ、、類。 お帰りなさい。 ごめんね、出迎えなくて、、
あのね、、この方とデパートで偶然バッタリ会ってね。 
それで意気投合しちゃって、ランチを奢って貰ったり、買い物も優待カードで割引して貰ったりで申し訳なくて、ここにお連れしたんだけど、、この家のご近所の方だったのよ。 類も知ってるでしょ?」

知ってるも何も、、
この人は、、近所の人じゃなくて、、
俺の、、

「母さん、、、」
「そうそう、、母、、さん? えっ?」

つくしは、類の呟きを反復し、驚きの表情で女性を見る
その女性は、にっこりと笑みを称えたままだ

「久しぶりね、、類君」
「えっ? えっ? お母さん?」

つくしは、類と女性を交互に見る

「そう、、俺の母さん。 で、何で母さんがここに? しかもデパートで偶然会った?
それ嘘だろ! 牧野がデパートにいる事を知って、わざと接近したんだろ? しかも、自分の素性を名乗らないでさ」

「ふふっ、、類君はなんでも御見通しなのね。 そうよ。 
空港に着いて、家に帰ろうと思ったら、牧野さんがデパートに行ったとSP経由で知ったのよ。 
なら、直接デパートへ行けば牧野さんに会えるし、ランチも一緒にできるし、お話も出来るでしょ?
でも、素性を名乗らなかったんじゃなくて、名乗り損なったのよ。 
牧野さんと意気投合しちゃって、名乗らなくても話が合うし、、ねっ、、牧野さん」

「はぁ、、えっと、、まあ、、」

つくしは、しどろもどろだ
類の母親と知らず、いろいろな世間話をしてしまった

ん?
世間話、、もそうだけど、、もっと大事な、、

途端、つくしは真っ赤になる

あろうことか、、類の母親に類のアレヤコレを話してしまった
しかも、性教育のような事まで聞いてしまった

穴があったら入りたいとはこの事だ

「牧野? なんで赤くなってるのさ。 この人に何かされた?」
「あっ、、と、、ううん。 何もされてないけど、いろいろと、、その、、いろいろとね」

「いろいろと、、何?」

つくしは、言葉を濁すが、元々嘘の付けない性格で、類から尋問されれば逃げる術がない

「えっと、、」
「類君の見分け方を、いろいろと聞いたのよ」

類の母親は、つくしをフォローするように告げる
そして、改めてつくしに向き合う

「ほんとに、ありがとう。 牧野さんが偽物と気づいてくれなければ、類君は今頃、、こうして元気にしていなかったわ。」
「あっ、、いいえ」

「なりすましていた人物の写真を見せてもらったんだけど、ほんとに容姿はそっくりだったわ。 
顔が少し青くなっていたから、それが尚更違和感をなくしていたのね。
それにね、、類君の性格も災いしていたと思うの。 
元々無口な子だから、何も語らなくても、それが本物の類君に見えるでしょ? 
それに記憶喪失を演じていれば、家の事、使用人の事が分からなくても不思議じゃないもの。 
ここに居た使用人も誰一人として、偽物だと分からなかったそうよ。 
だから牧野さんには感謝しているの。 あなたがいなかったら、今頃類君はここに居なかったはずだわ。
だからこれからも、類君と仲良くして頂戴ね」
「ありがとうございます」

母親が、つくしに感謝を伝える様子を見て、類もホッとする
少なくとも、つくしの事を気に入ってくれている
そして、今後の事を反対するつもりはないと分かる

「じゃ、、このまま牧野と一緒に暮らしても反対しないんだよな?」
「もちろんよ。 仲良く暮らしなさいね。 それと、牧野さんのご両親にはご挨拶に伺ったのよね?」

「あぁ、この前行ってきた」

それを聞き、息子も大人になった物だ、、と感じる
自分の感情だけで動くのではなく、相手の気持ちも考えている
その上、相手のご両親の気持ちまで、、

そう思える相手と出会えたことが素直に嬉しいし、その相手がこのように純粋なお嬢さんだという事も嬉しい

「類君、、良い大人になったわね」
「そう? でも、それは相手が牧野だからだと思う。 
牧野が好きだから。 牧野の家族が好きだから。 不安に思うような事はしたくないし」

母親を目の前にし、きちんと自分の気持ちを告げる
その行動こそが、愛する人を護りたいと言う気持ちの現れだと感じる

「それで良いと思うわ。 牧野さんも、こちらの世界に入るにはまだまだ不安だと思うし、慣れない事も沢山あると思うけど、類君が傍にいて導いて行けばそれで安心すると思うし、もちろん私達も協力するわ」
「ん、、ありがと」

類も、母親からの心強い言葉を貰い、感謝に絶えない
自分はこのままの牧野で充分だと思うが、それでも陰口を言う輩もいるだろう
そんな時、母親がフォローしてくれるのは助かる

「だから牧野さん、、安心して、類君に甘えてちょうだいね。 
ちょっと頼りないけど、牧野さんを護り包み込むぐらいの気持ちは人一倍あると思うわ」
「はい。 ありがとうございます」

頼りないは余計だよ!と思うが、反論できない
確かに、大の大人が誘拐されたんだから
しかも、、ド素人に、、

「あっ、それと私の事は、麗さんと呼んでちょうだい。 まだ結婚している訳じゃないし、呼び方も困るわよね。 
それにね、既に私たちはお友達みたいな関係ですから、何でも話してちょうだいね。 
困った事、分からない事などなんでも相談に乗るから」
と、つくしに向かってウインクする

そんな母親に、類は溜息をもらす

『麗さん』?
かなり、お姉さん的な言い方じゃない?
でも、、確かに結婚している訳じゃないから『義母さん』とは呼べないし、究極の呼び方という事だろうか?

「ありがとうございます。 これからもよろしくお願いします」

類の葛藤を余所に、つくしは微笑みながら返事をする
それを見て、二人の関係が凄く良い事が分かる


これだけ仲良くなっているのなら、
一年後、、、、結婚したいと申し出ても、反対しないだろう

それが分かっただけでも、今回の母親の帰国は良かったと素直に喜ぶことにしよう




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12 Comments

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2018-03-29 09:28

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2018-03-29 09:36

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2018-03-29 09:49

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2018-03-29 09:54

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りおりお
Re: おち〜様

りおりお  

2018-03-29 10:20

つくしちゃん…びっくり仰天ですね!
でも、すっかり意気投合しているし、嫌味に感じる部分がないって、凄く良い事ですよね
こんな義理母となら、この先も上手くいきますし!

麗さんも、つくしちゃんには感謝しかありません
頭が上がらないでしょうし、これからも仲良くやっていこう!と、意気込みも感じられます

類君も、ホッと一安心ですね

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-  

2018-03-29 11:01

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2018-03-29 11:16

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-03-29 13:30

つくしちゃんは、穴があったら入りたい気分でしょうね
そして、類君も「虐められているかも?」と思うあたり、つくしちゃんの味方で護る意欲満々です
愛されているって、、良いなぁ

麗さんも、つくしちゃんが大好きになったようです
純粋だしウブだし面白いし?
それになにより、類君の事がほんとに好きって判るし?
母親としても、嬉しい限りですよねぇ
類君も、いつの間にかしっかりとしているし、、ねっ!

皆がニコニコ、、明日で終わりとなります
お楽しみに

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-03-29 13:35

麗さん、、やりましたね(笑)
こうして素性を隠して接近すれば、その人となりを観察できます
つくしちゃんは何も知らず、色々と話しをしてしまいましたが、そのどれもが純粋で無垢で可愛い女の子って印象ですよね
だからこそ、つくしちゃんにアドバイス?
普通、母親がそれを急かすような事は言わないはず
でも、麗さんも気に入ったからこそ、心身共に類君の物になって欲しいと思ったのかも?
でないと、他の男に取られかねませんからね(笑)

類君もビックリでしょうけど、母親が反対する意思が無い事が分かり、ホッとした事でしょう

良かった良かった
明日もお楽しみに

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りおりお
Re: mizu~様

りおりお  

2018-03-29 13:38

その通りです

麗さんが、類君のお母さんと知らなかったからこそ、身構える事無くいろいろと相談出来た
そして、信頼できる女性として、これからも相談相手に、、と自ら依頼しました
これだけ仲良くなれた事は、つくしちゃんに取っても嬉しい誤算だと思います

普通は、彼氏の母親とは、なかなか意思疎通が出来ないはずですからね
羨ましいです

もちろん、麗さんもつくしちゃんの事が大好きになった様子
きっとこれから、類君と取り合う形になるのでしょう

類君も、麗さんが反対しない事が分かりました
これで安心して同棲できるし、一年後の夢も実現できそうですね

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-03-29 13:50

類君の登場により、麗さんの正体がわかりました
つくしちゃんは、穴があったら入りたい気分でしょう
でも逆に言えば、これ以上恥ずかしい話は無い!!
これからは、何でも相談できる間柄になったと言えます

嫁姑と言う関係になっても、上手くいくはずでしょうし、今まで以上に類君を愛すれば良いだけですし、、
羨ましいですね

そして類君も、ホッと肩の荷が下りたのでは?
母親がつくしちゃんの事を認めているんですから

明日は類君の誕生日
どんなラストになるのやら?
是非お楽しみに

EDIT  REPLY    
りおりお
Re: ゆきた~様

りおりお  

2018-03-29 13:54

麗さんの正体がわかりましたね
つくしちゃんは、ビックリ仰天でしょうけど、これ以上恥ずかしい話はありませんから、これからもどんどん相談すれば良いと思います(笑)
きっと親身になって相談に乗ってくれるはずですから
というより、面白がって、介入して来そうですね(笑)

類君も、心配の種が減りました
あとは、仕事を頑張る事に精を出し、一年後に結婚できるよう頑張らなければ!!

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