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夢幻<完>

もう一つの13【愛情編】

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「牧野? 用意できた?」
「あっ、、うん」

牧野は、頬を染め、おずおずと家から出てきた
髪も少し伸び、ショートボブぐらいになっている
そして、刺しゅう入りのシャツにガウチョパンツを合わせた服装
寝間着姿ばかり見ていた俺には、すごく可愛く見えて、、俺の頬も染まってしまう

「おかしくない?」
「ん、、すんごく可愛い/////」
「/////」

「じゃ、、行こう?」
俺は、サッと牧野の前に手を差し出す

「うん」
牧野は少し照れながらも、その手をそっと握ってくれる

小さくやわらかで温かい手を、俺はしっかりと握る
もう二度と、その手を離さないと言うように、、

こうして花沢の車に乗り、念願の遊園地へ行った

「どこから回る?」
「えっと、、絶叫系はちょっと、、」

「あっ、、観覧車に乗ろう?」
「うん。 乗りたい」

二人は、観覧車の列に並ぶ
普通は並ぶことは嫌うはずだが、二人はにこにこしながら並ぶ
それは、今が夢ではないという証拠だからだ

そして30分程待ってやっと乗ることが出来た
二人は自然に向き合う形で座る

ガチャンッ

入り口のドアが閉まると、二人はクスッと笑みを漏らす

「閉まったな」
「うん」

少しずつ上昇する景色を、二人は言葉も無く眺めていた

園内は色とりどりの花が咲いている
その花を見て、景色を見て、、歩いている人達を見て、、

類は徐に口を開いた

「やっぱり、、現実だと周りはモノクロじゃないんだ」
「プッ、、当たり前」

「でも、、夢の中だと、牧野以外はモノクロに見えたからさ

景色も人物も、、何もかも」
「そうだね、、あたしも、類だけがハッキリ見えた。 
景色も、一人で見ている時はモノクロかぼやけて見えて、、
でもね、類が現れて、類が指差す方向だけがパァ~と色付いて見えた」

「良かった。 俺があんたを照らす光になれて」
「うん、、凄く頼りにしてた。 そして、安心できた」

「くすくすっ、、過去形?」
「あっ//// いや//// 今も!! 今も凄く頼りにしているし安心できる」

「俺は、あんたを励ますことしかできなかったけど、あんたは良く頑張ったよ」
「ううん、、類が励ましてくれたから頑張れたんだよ?
類とこうしてデートしたいし、いろんなものを食べたいし、、

新しい希望が沢山出来たから、、
類と出会わなかったら、、きっとここまで頑張れなかった」

「俺にとっても、あんたは革命をくれた人だよ?」
「あたしが?」

「そう。 俺って、何にもやる気がでなくて、ただ漠然とした日常を送っていたんだけど、、それが夢の中であんたに出会って、かなり行動的になったと思う」
「かなり大変な病気だったけど、、

でもこの病気のおかげで類に出会ったんだと思ったら、、
悪い事ばかりじゃなかったかな?と思うようになった、、笑っちゃうでしょ?」

「いや、、確かにそうだよな。 

夢を持ち未来を描くって事は、凄く良い事だと思う。
それが頑張る糧になるんだからさ」
「うん。 だから、、将来はそう言う仕事に就きたい。 
未来を描き頑張る糧になるような、、夢をサポートできるような、、そんな職業」

「凄く良いと思うよ。 あっ、入院中の遅れている勉強も見てあげる。 
まずは留年している高校を何とか卒業しないとな」
「あっ、、そうだね」

「そして大学目指そう? 専門職とかあるだろうし」
「うん、、新たな目標だね」

そして観覧車は、てっぺん付近に来る

「牧野、、」


類の口からは、甘い言葉が出てくる
つくしも、その意味を理解する

類は、そっと腰を浮かす
つくしは、そっと目を閉じる

そして、、二人の唇はしっかりと重なった




「くすっ、、良かった。 消えてない」
「フフッ、、良かった。 ここに居る」

「もう一度確認させて?」
「ん? 何を?」

つくしは小首を傾げると、その唇に今度はふわりとしたキスが降ってくる
そしてそれが啄むように、何度も何度も重ねられる

「ん、、確認終了。 やっとファーストキスが出来たな」
「/////////」

二人を乗せた観覧車は、もうすぐ下に到着するところだ

「あの時さ、、牧野からの不意打ちのキスの後、フッと牧野の姿が消えただろ?」
「うん。 あの時、、もうダメだろうなぁって思って、でも最後にどうしても類と///、その////、、キスしたかったから////、、ダメ元で?」

「くすっ、、凄く光栄。 俺達さぁ、出会いは夢の中だけど、、

でも、あんたに出会えた事って、運命だと思うし、奇跡だと思うんだ」
「うん。 そうだね」

「だから、 これからも沢山の奇跡を起こそう?
辛い事や悲しい事は、二人で分け合えば半分になるし、、
楽しい事や嬉しい事は、二倍になるだろ?
そうやって寄り添ってこれからも過ごそう?」

「うん、、ありがとう、、確かに、、類に沢山救われた。
これからも沢山の奇跡を起こしたい」

「起こせるよ! 俺は、あんたの手を離すつもりはないんだからさ、、
だから、、笑って過ごそう? 今日よりも明日、明日よりも明後日、、
あんたが俺の隣にいる限り、俺は笑っていられるからさ」
「うん。 あたしも同じ。 類が隣にいると自然に笑顔になれる」

つくしは、ニッコリと笑う

その笑顔に、類も自然に笑顔になる



すると、二人の乗ったゴンドラの鍵が開く

ガチャンッ

「行こうか?」

類は、手をつくしに差し出す

「うん♪」

つくしは、その手をしっかりと掴む
そして、類が先に降り、そっとつくしを降ろす
そのつくしの耳元に囁く

「無事、一周出来てよかった。 もう二度と、途中下車はさせないから」

「もちろんするつもりはないよ? こんな幸せな人生を手放したくないもん」





つくしの病気は完治した訳ではない
まだまだ通院治療が必要だ

5年生存率は平均して50~60%となっているが、二人は決して悲観に暮れていない
この先、何十年という先の未来を夢見ているのだから




「次はどこへ行く?」
「えっとねぇ、、ふふっ、、ちょっと待ってね、、沢山ありすぎて困ってるから」

「近場から制覇しようか? 体調をみながらさ」
「うん」

二人は寄り添い、語り合い、微笑みあい、、
しっかりと手を繋いで、、

明るい未来へ進み始めた




< 完 >



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