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夢幻<完>

13【涙編】

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つくしの葬儀には、司、あきら、総二郎も訪れた

類は、何を語るでもなく、ただずっと遺影を見つめていた
その姿に、三人は心配になる

ただでさえ繊細な心の持ち主
そして誰よりも純粋な心をしている

二人の出会いは、夢の中だし、現実にデートをしたわけでもない
それでも確かな愛が生まれていたと感じる

病気のつくしを、必死に助けようともがきながら、本来の学業も疎かにしない姿勢
それは、これから先、起こりうる数々の障害を排除する為
二人の未来を確かな物にする為だと判っていたから

その相手がいなくなった時、昔のように何時までも塞ぎこむ、あるいは、つくしの後を追うのでは?と、親友達は心配でならない

それは、花沢家も同じ想いなのだろう
類の傍には、SPが張り付いているのが判る

そして、荼毘にふされる前に、類はつくしに小さなブーケを握らせる

類「ゆっくりお休み。 また、夢の中でデートをしような」

つくしの頬を撫でながら、つくしが好きと言っていた笑顔で語りかける
そして最後のキスを贈った


その後、類は外でジッと空を見上げていた
つくしが上っていく空を、見送っているかのように、、

そんな類に、親友達が声を掛ける

司「おい類、、お前、大丈夫か?」
類「あっ、、皆も来ていたんだ」

葬儀中も、ずっと類の近くにいたのだが、それすらも気づいていない事に驚く物の、ずっとつくしを見つめていたのだから当り前か、、とも思う

あ「あぁ、、お前の事が心配だし、俺達も牧野の親友だろ?」
総「お前の彼女なんだしよぉ」

親友達からの気遣い
そして嬉しい言葉に、類はフッと表情を緩める

その類の表情を見て、三人も安堵する

類「いろいろありがとう。 でも俺は大丈夫だから。
  とりあえず、初七日が終われば、フランスへ行ってくる」

司「あぁ、、そうだな。 お前の両親も、心配しているだろうし」
あ「ゆっくり羽を伸ばして来いよ」
総「気分転換して来いよ」
と、気休めの言葉を告げた

その言葉通り、初七日が終わると、類はフランスへ旅立った



久しぶりに見る息子は、もっと意気消沈しているのかと思えば、しっかりとした顔つきをしている事に、両親はかなり驚く

類「父さん、母さん、、いろいろ手を尽くしてドナーを探してくれてありがとう」

開口一番、お礼を言う息子に、二人は再び驚く

類「結果は残念だったけど、、
  でも牧野は本当に頑張っていたし、凄く前向きだったんだ」

聡「あぁ、、そうだろうな。 あの病気は、凄く大変らしいからな」
麗「もう少し早く、ドナーが見つかっていれば、、と私も悔やんでいるの」

二人の理解ある言葉を、類は噛みしめるように頷きながら聞いていた
そして、、

類「それで、、お願いがある。 俺、医者になりたい」

突然の息子の意思表示に、二人は今日何度目かの驚きを見せる
そんな両親に訴えるように告げる

類「牧野と同じように、病気で苦しんでいる人を少しでも助けたいんだ。
  そして、明るい未来を歩んで貰いたい。
  それが、牧野と出会った俺の使命だと思う。
  父さんと母さんには、本当に感謝している。
  今まで大切に育ててくれた事も、今回かなり尽力してくれた事も、、
  なにもかも、感謝してもしきれない。
  でも、俺の我儘を許して欲しい。
  もう牧野のように、夢半ばで一生を終えるような人を、少しでも
  減らしたいんだ」

必死の訴えに、両親は何も言えない

類「本当に申し訳ないと思っている。
  会社の後継者として育てられたけど、それがずっと苦痛だったんだ。
  でも、なりたい職業も特になかったし、抗う事も面倒だったけど、、
  今は違う。 医者になりたいと言う夢が出来たし、その為に今から努力する」

確かに、後継者として育てていた日々は、本人には退屈極まりない物で、何時も惰眠をむさぼっていた
でも今は、、見違えるように良い瞳をしている

聡「医師と言う職業は、本当に大変だぞ?
  全てが救える命ばかりではないからな。
  お前が頑張った所で、どうしようもない事も有る」
類「判ってる。 でもどんな形であれ、最後が笑顔ならそれで満足だから」





10年後~

小さな女の子が、類の姿を見つけ駆け寄ってくる

子「あ~~花沢先生! また空を見てる」

その女の子は、髪が生えてきたばかりで、まだベリーショートと言った感じだ
それでも、元気一杯に、類に抱きつく

類「あっ、今日退院だったっけ?」
子「そう! 先生、いろいろありがとう」

類は、その女の子の視線まで屈みこみ、ポンポンと頭を叩く

類「頑張れよ」
子「うん! あのね、、今度遊園地に行くの! ずっと行きたくって!!」

遊園地、、

類は、フッと笑みをこぼす
その類の笑顔に、目の前の女の子は、顔に熱が集まる

子「先生の笑顔って素敵だね。 だって、頑張ろうって思えるもん」
類「そう?」

子「うん。 辛い治療も、先生の頑張れの言葉と笑顔が、一番の薬だった」

女の子の言葉が、類の胸にしみる

類「そっか。 じゃこれからも笑顔で頑張るよ」
子「うん♪」
女の子は、嬉しそうに笑う

類「あっ、、ちょっと頼んでも良い?」
子「ん? な~に?」

類「観覧車に乗って、てっぺんまで来たら、、
  空に向かって『元気になったよ』って言ってくれる?」
子「うん、分かった。 じゃあね、先生」

女の子は、元気良く手を振り、母親の元へ駆け出した
その母親は、類に向かってお辞儀をした後、女の子の手を繋ぎ帰っていく

つくしとの出会いで呼びかけたドナー登録が功を奏し、沢山の企業が福利厚生面を変更し賛同した
そして、、ドナー登録者も増えた

この女の子も、早くドナーが見つかった事で、こうして元気になった



類は、空を見上げながら、胸元に手をやる
服の下には、小さなロケットペンダントがある
その中には、牧野家に了承を貰い、分骨して貰った物が入っている


――牧野、、あんたすごいよ
   沢山の命を救ってる

ふわりと、類の周りに風が靡く


――牧野、、俺、笑えているんだって


~~~るい、、る、い、、だ~い、、、好き~~


ん、、俺も



< 完 >




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