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夢幻<完>

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つ「類! いつもありがとう」
類「あれ? 牧野? ここは病院じゃないよな?」

目の前の牧野は、少しふっくらしているし、真っ直ぐな黒髪が肩まで伸びている
だから、これが夢だと判る
と同時に、周りをキョロキョロと見渡す

また、牧野を襲いに来る変な奴はいないか?と、、
同時に、牧野に手を伸ばす

類「手を繋ご?」
つ「うん」

ゆっくり伸ばす手を、サッと恋人つなぎに握ると、ポッと頬を染め、俺を上目使いで見上げてくる
その表情に、俺の心臓が大きく跳ね上がった

つ「あのね、、類と行きたい場所があって」
類「どこ?」

つ「観覧車に乗りたい! 
  ほらっ、類が励ましてくれた紙に、書いてあったでしょ?
  そこで、夜景が見たい」
類「ん、、良いよ。 俺も一緒に乗りたいと思っていたんだ。
  まあ、実際のデートで、、だけどね。 でも予行練習も悪くないよね」

すると、牧野は何も言わず、ただ微笑んだ
そして、目の前に観覧車が現れ、周りがゆっくりと暗くなっていく

誰も乗っていない観覧車のドアが開き、それに乗り込むと、カチッとドアが閉まる

類「すごいな、、夢ならでは? しかも無料だし」
つ「確かに、、それにこんなに空いているし」

周りを見るが、観覧車に乗っているのは、俺達しかいない

類「だな、、」

二人は、向かい合って座る
そして互いの顔を、しっかりとその瞳に焼き付ける

つ「どうして、類と夢の中で会っていたのか、、ずっと不思議だった」
類「俺も同じ。 周りはモノクロなのに、牧野だけが鮮明に映るしさ」

つ「うん、、それは思った。
  あたしにとって、類は夢の中の王子様みたいで、、
  いつの間にか、会える事が楽しみになってて」
類「そうそう、、俺も牧野に会いたくて、大学の昼休みはずっと昼寝をして
  いたぐらいだし」

つ「くすくすっ、、大学で昼寝?」
類「あっ、きちんと講義は受けてるから大丈夫」

つ「うん。 きちんと大学へは行ってね」
類「もちろんそのつもり。 
  それで今更だけど、俺達きっと波長が合うんだと思う。
  だから、互いの夢が合致したんだろうな」

つ「波長?」
類「そう。 性格が合うとか趣味が合うとか、、そんな頭で判断する事じゃ
  無くて、『心』が共鳴し合うって事!
  『なんとなく』この人といると楽しい、、
  『なんとなく』癒される、、
  『なんとなく』元気になれる
  言葉で言い現すことは難しいけど、傍にいるだけで幸せを感じる?
  そんな相手って事」

つ「分かる気がする。 類といると、元気を貰えるし頑張れるから」
そう言いながら、ニコリと笑う

その笑顔で、俺の心は癒される
今、一番大変な思いをしているのは牧野だと言うのに、、
その辛い日々を、見ているだけの俺が、こんなに疲弊し、それを癒してくれるのが当の本人だなんて、、

それでも、俺は牧野のこの笑顔が好きだし、守りたい大切な物だ

つ「あっ、、きれい、、」

観覧車は、いつの間にか頂上に差し掛かり、そこから見る夜景はとても綺麗だ
でも、その綺麗な夜景を見ている牧野の顔が、もっと綺麗だと思う

つ「あっ、、星も凄くきれい、、」

ふと、上を見上げる
上部がスケルトンになっている観覧車は、星も良く見える

類「ほんとだ。 都内でこんなに綺麗に星が見える場所、、って、あったっけ?
  もしかして、都内じゃ無く地方の観覧車、、」

そこまで言って、言葉が止まる
それは、俺の口が塞がれたから、、

つ「ふふっ、、、キス、、しちゃった///」
類「ま、、き、の?」

つ「この前、口移しで水を飲ませてくれたけど、ちゃんとしたキスは、
  まだだったから」

照れ笑いで話す牧野が、凄く可愛い

類「キスなら幾らでも。 現実には、まだ無理だけど、、夢の中なら幾らでも?
  何なら、ずっとキスしていても良いくらいだよ?」
つ「ありがとう。 沢山の励ましも、ドナーを探してくれた事も、、
  ホントにいろいろありがとう」

類「いや、、それくらい、どうって事無い。 だから頑張れよ。
  不安だったり、辛い時は、また夢の中で、こうして気分転換しような」

その言葉に、牧野はただ淡く微笑む

つ「類! ずっと笑っててね。 あたし、類の笑顔が、だ~い好き」
類「そりゃ、、あんたが俺の傍にいてくれたら、、
  それだけで俺は笑っていられるけど?」

つ「うん。 あたしは、ずっと類の傍にいる。 だから約束だよ?」
類「ん、、分かった。 だから、もう少し頑張れよ」

それに対する言葉は無く、俺の大好きな笑顔で笑いかけてくれる
その牧野に、キスをしようと手を伸ばすと、、

つ「ありがとう類、、バイバイ」

えっ?

俺の手は空を切り、牧野はスーと消えていった

観覧車に一人取り残された俺、、
地上までは、まだかなりの距離がある

これは夢、、、
夢なんだから、、このドアを開けて飛び降りても、、
と思うのだが、何故かドアが開かない

なんで?
なんで開かない?

余りにも嫌な予感がしてならない

類「くっそ!! 牧野! 牧野! 牧野~~!!」




***
明日は、二通りの分岐になります
(当初は一つしか考えていませんでしたが、急遽二通りにしてみました)





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