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なないろ<完>

47 忘れている事

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医師が来て、つくしの診察が始まった

つくしは、千恵子から記憶喪失だったと聞かされても、ピンとこなかった
ただ、その事故があってからこの約一ヶ月の事を、まるで覚えていない

うろ覚えだが、大学受験を目標に勉強を頑張っていた事を話すと、千恵子もそうだったと言う

伊豆に来た経緯が抜けているのは、海に落ちたショックで抜け落ちたのだろうと診断され、他には何も問題ない事から直ぐに退院となった

その帰りの電車で、千恵子に聞いてみる

つ「ママ、、海に落ちたって言ったけど、、誰が助けてくれたの?」
千「その別荘の方らしいんだけど、、どなただったかしらねぇ。
  病院代も全て出すからと言われて、ここにメモも貰って、、」

千恵子は、鞄の中をゴソゴソと探すが、そのメモがどこにもない

千「あらっ、おかしいわねぇ。 どこにも無いわ。
  私も気が動転していたから、どこかに置き忘れたのかしら?
  でも、つくしの記憶が戻って良かったわ」
と、安堵の表情を見せる

つ「うん。 心配かけてゴメンね」

つくしは、自分の手に残る指の跡にそっと触れる
その跡も、既に薄くなっている

(何故だか分らないけど、、心が震える
とても大切な何かを、忘れている気がしてならない)

つくしは、鞄の中からハンカチを取り出そうと、ゴソゴソとする
すると、ティッシュに包まれた、さくらいろの二枚貝を見つける

(何だろう、、これ。 でも可愛い)

その貝を再びティッシュに包み、大切にしまう
何か、とても大切な物に思えたから

そして携帯を探すが、どこにも見当たらない
海の中に落としたんだろうか?



類は邸に戻り、真っ直ぐ部屋へ向かう
そして、その室内に驚いた

ローテーブルに、ラグ、クッションが二つ
そして本棚を見ると、高三の参考書数冊が並んでいる

ペラペラと捲ると、途中まで答えが記入されている
しかも、自分の文字と見知らぬ文字

(どう言う事だ? この部屋に誰かがいた?)

すると、どかどかと足音が聞こえたかと思うと、バタンとドアが開く

司「よぉ類!」
あ「体はどうだ?」
総「大丈夫か?」
と三人が入って来た

そして、直ぐにローテーブルに気が付く

司「おっ、やっと机を置いたのか」
総「そうだよな! 今までが殺風景すぎたんだよ」
あ「そうだよな、、」
と、ラグに座る

そこへ佳代が、コーヒーを持って入って来た
そしてテーブルに置いていく

類「佳代。 このテーブル、、何時置いた?」
佳「類様が事故に遭われ、退院してすぐでしょうか?
  類様のご指示で、ここに置きましたが?」

(俺の指示? そんな覚えは全くないんだけど、、)

総「お前、大学も真面目に行ってたしよぉ」
あ「そうだぜ! 一限目から真面目に受けてよぉ」
司「あぁ、、人が変わったようだったよな」

(大学も真面目に? 一限目から? 全く覚えがないんだけど)
と思うが、顔に出さないように気を付ける
まだどこかおかしい思われ、病院で再検査になると鬱陶しい

あ「それより類! 悪かったな。 
  どうも、柵の根元が海風で腐敗していたみてぇでよぉ」
類「こうして無事だから、気にしなくて良いよ。
  それより、俺が助けた女は?」
と、佳代に聞いた話を持ち出し問う

あ「あぁ、、命に別状はねぇ」
類「そう、、それで、その女って、誰?」

総「さあな。 まあ俺達が引っかけた女だろうけどよぉ」
あ「他の女も、誰も知らないって言うんだ」
と、二人もその女性の素性を知らないと言う

司「しかし、、何で女なんか連れてくるんだよ」
あ「そりゃ、楽しみてぇからだろ? それを言うなら、何で司と類も来るんだよ」

逆に問われても、二人とも何故だか分らない
(確かに、総二郎とあきらが女性を連れて別荘へ行くのなら、俺達がそこへ行くはずがない。 じゃあ、何の為に行ったんだ?)

司と類は、顔を見合わせ不思議そうな顔をする

総「それより類が何ともなくてよかったぜ」
あ「あぁ、、そうだな」

司「しっかし、伊豆の、あのつり橋は恐かったよなぁ」
総「プッ! それ司だけだろ」
あ「そうそう、、」
と、伊豆旅行の話を始めた

類は、やはりそのつり橋を渡った記憶が無い
不思議に思いながらも、三人の話に耳を傾けていた

そして、小一時間ほどで三人は帰っていった
『今度は大学で会おうな』と手を挙げながら


類は、再び本棚へ向かう
三人が真面目に大学へ行っていたと言う事が、どうしても引っかかる

(寝る事が好きな俺が、一限目から受けるか?)

本棚にあるノートを手に取る
そしてペラペラと捲ると、そこにはびっしりと書き込まれている
しかも、自分の字では無い文字が

急いで高三の参考書を広げ、その二つを見比べる

類「同じだ、、」
思わず声が洩れる

取り敢えず頭をクリアにしよう、、と、シャワーを浴びる事にした
着替えを出す為に、クローゼットを開けると、その隅に女性物の服が数枚
寝巻や下着まである事に気付く

(もしかして、、俺の別人格? そう考えると全ての辻褄が合う。 この一ヶ月ほどの記憶が全くない事も、、全て)

類は、とりあえず女性物の服や下着類を、タンスの奥深くへ隠す
万が一にも使用人に知られ、人格を疑われると厄介だ
それこそ、精神科へ入院させられることになるからだ

こうしてシャワーへ向かった
そして、スッキリした所で、スーツケースの整理を始めた

その中に、ティッシュで包まれた物に気が付く
ゆっくりそれを開けると、そこには巻貝が入っていた

(可愛いな、、これ。 あきらの別荘で拾ったんだろうか?)

そう思いながら、テレビの横の置いた

(そう言えば携帯は? 旅行鞄の中を探すが、どこにも見当たらない。 海に落ちた時、落したんだろうか? そうとしか考えられないよな)




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4 Comments

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-  

2018-03-27 06:34

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りおりお
Re: casalin~様

りおりお  

2018-03-27 07:55

ご指摘ありがとうございます

これね、、私がそう覚えていた(笑)
「うろ覚え」を「うる覚え」
笑って下さい
だって、そう思い込んでいたんだから(笑)

修正しました
教えていただきありがとうございます

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-  

2018-03-30 10:45

このコメントは管理人のみ閲覧できます

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りおりお
Re: キャ~様

りおりお  

2018-03-30 14:43

診断とは結果の事ですよね
診察に修正しました

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