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なないろ<完>

46 狭間の世界

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バシャーンッ、、

二人が海の中に落ち、大きな水しぶきが上がる
昨日と違い、今日は波が荒い
波紋も音も、次々打ち付ける波に掻き消される

つくしを突いた女性は、その場にヘナヘナと座り込む
数人の女性は、そっと海を覗き込むが、そこに二人の姿は無い

女「はっ、、早く、、誰か呼ばないと、、花沢さんが、、」

女性達の思考はそこへいく
類は、花沢物産のジュニアだ
何かあったでは済まされない
救助を求めに、数人が別荘へ走り出した

バタン!!

勢いよく別荘のドアを開けると、そのリビングにF3が座り談笑していた
そこに、女性が血相を変え、叫ぶように告げる

女「たっ、大変です! 花沢さんと牧野さんが、、海に、、」
F3「「「 えっ! 」」」

三人も、女性の慌てぶりからただ事ではないと感じる
司と総二郎は、すぐさま別荘から飛び出す
あきらは使用人に、「すぐ救急車を!」と告げ飛び出した

司と総二郎は、崖から下を覗き込むが、二人の姿は見えない
波も荒く、崖に打ち付けている

その海に向かって、二人も飛び込む

バシャーンッ

遅れて来たあきらは、二人までもが飛び込む姿を見て、眩暈を覚える
二次被害になるかもしれない危険性があるからだ

あきらは、崖の上から目を凝らし、類とつくしを探す
すると、10メートルほど先に、服らしき物がちらりと見えた気がした

あ「司! 総二郎! 10メートル程、沖だ!! 流されてる!!」
と、指を差しながら叫んだ




類は、目を開けると周りは花畑
フワフワと体が浮く感じがする

そして、違和感のある右手を見ると、しっかりと女の子の手を握っている

(誰だ?)

そう思う物の、その手はどう見ても自分の意思で握っているのが判る
不思議に思いながら、ゆっくり手を離し、上半身を起こす
そして女の子をまじまじと見るが、やはり見覚えが無い

すると、隣りの女の子が軽く身動きし、ゆっくり目を見開いた
そして、俺をジッと見た後、パチパチと瞬きをした

その口元が小さく動き、、
「天使?」
と疑問形の声が聞こえた



目を開けると、ジッとあたしを見つめる綺麗な人がいた
薄茶色の髪には、天使の輪っか
その瞳は、ビー玉のようにキラキラしている

(天使? まさかね?)
と思いながら、パチパチと瞬きするが、やはりジッと見つめている

思わず「天使?」と言う声が洩れた



類「プッ! あんた、、面白い事、言うよな」
つ「えっ?」

つくしは、ゆっくり上半身を起こし、マジマジと類を見る

つ「あっ、、えっ? 誰?」
と、頭が混乱している

そのつくしの表情と言葉から、やはり類の事を知らないと判る

類「手、、大丈夫?」
つ「手?」

つくしは、自分の手を見ると、左手にくっきりと指の跡が残っている

類「何でか分らないけど、俺が強く握っててさ、、」
と、申し訳なさそうに告げる

つ「あっ、、大丈夫です」
と、慌てて手を横に振る

つ「それより、、ここどこですか?」
類「さあ?」

二人は、改めて周りを見渡してみる
そこは、一面花が咲き乱れ、ポカポカと温かい
でも、他に人らしき姿は見えない

つ「とりあえず、、ここがどこか、他に人がいないか調べましょ?」

その前向きな意見に、類はポカンとする
(変わってる奴。 普通なら、泣きだすとか、不安を訴え寄りかかったりしない? まあ、俺の周りの女が、そんな鬱陶しい奴ばかりなのかも知れないが)

そう思っている間に、つくしは、サッと立ち上がる
するとその先に、キラキラした物が見える

つ「あっ、、あれなんだろう?」

その声に、類も立ちあがる
その類の目にも、キラキラした物が見える

類「水? 池? 沼?」
つ「何で、そんな所が?」

二人は、思わず顔を見合わせる
そして、同時に駆け出した

リーチの差から、先に類が辿り着く
そして屈みこみ、その水の正体を確かめるように、ゆっくり手を伸ばした

すると、やっと到着したつくしが、類の傍に近寄ろうと足を踏み出した途端、ぬかるみに足をとられバランスを崩した

つ「うわっ、、」
類「えっ? 危ない!!」

類は、直ぐに手を差しだし、つくしの手を掴もうとしたが、その手は空を切る

バシャ~ンッ

つくしの身体は、そのまま池の中へ吸い込まれるように沈んでいく
すぐさま類も立ちあがり、自らその池へ飛び込んだ

バシャ~ンッ



パチッと、目を開ける
そこには、佳代の心配そうな顔

佳「目覚められましたか?」
類「佳代?俺、、どうしたの?」

佳「美作様の伊豆の別荘へ遊びに行かれまして、崖から落ちられたそうです」
類「崖から落ちた?」

佳「はい。 
  何でも美作様と西門さまが連れてこられた女性を、助けようとされたとか」
類「俺が? 女性を?」

類は不思議に思う
女性を助けた事はもちろんだが、伊豆へ行った事も何も覚えていない

佳「とにかく医師を呼んでまいります」

すぐに医師の診察を受け、特に外傷もなく、意識もはっきりしている事から、直ぐに退院できる運びとなり、その足で東京へ戻る事になった



パチッとつくしは目を開ける
そこには、千恵子の心配そうな顔が見える

つ「ママ?」
千「あっ、つくし。 起きたのね」

つ「私、、どうしてここに?」
千「海に落ちたらしいの。 あんた受験生なのに、伊豆に旅行ってどういうこと?」

つ「伊豆?」

つくしは、伊豆に来た覚えなど全くない

千「誰かの別荘らしいんだけど、、誰だったかしらねぇ?
  とにかく、医師を呼んでくるわね」

そう告げ、直ぐに病室を出て行く
その千恵子の後ろ姿を見ながら、点滴の刺さっている腕を見る
そしてその手の甲を見て驚いた

そこには、赤い指の跡がくっきりと残っていた




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