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狂い花<完>

26 異変

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あきらは、仕事が終わると、すぐに総二郎の家に行く
そして、総二郎とと共につくしのマンションへ向かった

ピンポ~ン

『はい』
「あっ、牧野? あきらと総二郎だけど、開けてくれよ」

『ほんとに来たの?』
つくしの戸惑いの声がするが、すぐに玄関の施錠が開いた

「突然で悪りぃな」
「類には、断りを入れてあるからよ」

「ほらっ、きちんと夕食も持参してきたしさ」
「アルコールもあるからよ」
と、必死に頼み込む

「もう、、散らかってるけど、、どうぞ」
二人の懇願に、つくしは渋々中に招き入れる

「サンキュー」
「悪いなぁ」
二人は、嬉々として中に入り込んだ

すると、、
奥のベランダが少し開き、カーテンがゆらゆらとゆらいでいるのが見える

まっすぐ進むと、右手に出窓があり、そこに例の花が咲いている
真っ赤な花びらで、つやつやしている

「これだな」
「あぁ、、これだ」

二人は、ボソッと呟きながら、その花をまじまじと見る

直系5センチほどの花
初めて見る花だが、特にこれと言っておかしい部分は無い
茎がスッと伸び、その両側に葉っぱがついている
その先端に花が咲いている

二人は、確認を終えた所で、キッチンテーブルに持参してきた夕食とアルコールを置く

「アルコールの方は、冷やしとけよ」
「うん、、分かった」

つくしは、二人の前にコーヒーを置く

「インスタントだけどどうぞ。もうすぐ類も来ると思うから」
「あぁ、、類の奴、仕事が忙しそうだな」

「うん、、類もだけど、美作さんも大変そうだね」
と、あきらを気遣う

「ちょっ、牧野! 俺は? 俺もすんげぇ大変なんだけど?」
と、あきらだけを気遣うつくしに、総二郎が拗ねる

「ごめんごめん、、西門さんも大変だよね。
大学を卒業したら、本格的に茶の道に入るんだもんね」
「そうなんだよ。今は、二足のわらじ状態だから、多少の事は大目に見てくれるけど、卒業したら、その謳い文句がねぇからなぁ。実力だけの勝負だしよぉ」

「ふふっ、、でも大丈夫だよ。 学生時代から、精進してるんだから」

こうして相手を気遣い、優しい言葉をかけるところは、依然と何も変わっていない
ただ、ふとした時に微笑む感じは、やはりふんわりとした笑みだ

そんなつくしに注意しながら、二人は様子を観察する

ピンポ~ン

すると、インターホンが鳴った
途端、つくしの表情が輝く

「あっ、、類かな?」

そう言いながら、弾むような足取りで玄関へ向かった

その後ろ姿を見ながら、、
「なあ、、今のところは、特に変わったことはねぇよなぁ」
「あぁ、類が来た途端、恋する表情になる辺りも、まあ恋人同士には良くある事だしよぉ」

「俺達の時とは、全然違うよな」
「間近であんな表情を見せられたら、もう司とは無理だよなぁ」
「あぁ、、司と付き合っている時より、良い顔してるしよぉ」

と、ぼそぼそと話していた

すると、つくしが類を伴いやってきた

「ほんとに来たんだ」
「お邪魔してるぞ」
「まあ、そんな嫌そうな顔するなよ。ほらっ、アルコールも持ってきたからよ」

二人は、ぶすっとした表情の類に笑いが出そうになる

今までつくしを前にしても、内心をひた隠しにし友人を貫き通していたのに、今は堂々と自分たちを邪魔者扱いする
その変わりように、驚きよりも安堵と言うか、親友の恋が実ったことを嬉しく感じる

それは司の方も、女とよろしくやっているからかもしれない
それに、つくしの表情も凄く良い顔をしているからかもしれない
ただ、、それが、摩訶不思議な花の所為でなければ、、の話なのだが、、
今の所、特に変わったところは無い

「ちょっと寒くなってきたから、ベランダを閉めてくるね」
と言いながら、ベランダの戸をしっかりと占めカーテンを引く
そして、冷蔵庫からビールを取りだしテーブルの上に置く

三人は、ビールを手に取り、つくしはお茶を手に乾杯をする
そして、持参してきた夕食を摘まみ始めた

初めは、卒論の事、仕事の事などを話していた
そして、二本目のビールを開けようか、、と言うときだった
どこからか甘い香りが漂い始めた

「なんだ? この香りは、、」
「おい、、あそこ、、」

総二郎は、あきらの腕を叩き、出窓を指さす
そこには、赤い花が月明かりをあび、キラキラと輝いている

「るい、、、」

つくしの艶のある声に、二人はハッとそちらを向く
すると、今の今まで普通に会話をしていたと言うのに、今は甘い瞳で類を見つめ、誘うような色香が出ている

「おい? 牧野?」
「おい、、お前、、どうしたんだ?」

二人は、つくしの異変に驚きながら、声をかけてみるが、全然二人の方を向こうとしない
と言うより、二人の存在が見えないと言った感じだ

「おいで、、牧野」

えっ?

二人は、今の今までつくしの異変に気を取られていた為、類の方をおろそかにしていた
その類も同じように、二人の存在が見えないのか、ただ一点、、つくしだけを見つめている
それも艶のある甘い瞳で

「うん、、、」

まるで、ふわりと舞うように、類の膝の上に座るつくし
そして類の首にその腕を回した
その類も、しっかりとつくしの腰に腕を回す

「おい、、お前ら、、」
「おい、、俺達がここに居るんだぞ?」

二人も、必死に目の前の類とつくしに話しかけるが、完全無視だ
いや、聞こえていない、見えていないと言った感じだ

あきらと総二郎は思わず見合う

「おい、、どうする?」
「とにかく、、ここに居ちゃまずいんじゃね?」

そう呟いている間に、目の前の類とつくしは、キスを始めた

「ん、、、ふぁ、、、、んんっ、、、、」

思わず目が点になる二人
こんな濃厚なキスを、テーブル越しとは言え間近で見せられるとは思ってもいなかった

「とにかく、、ここを出ようぜ」
「あぁ、、このままじゃあ、、こいつらのを見せられちまう」

二人は、ガタンッと椅子から立ち上がる
その音も聞こえないのか、二人のキスは全く止まらない

「くっそ!! 何がどうなってんだよ」
「分かんねぇよ」

と言いながら、バックを引っ掴み、急いで玄関へ向かう

「おい!!」

その途中で、あきらは、総二郎の腕を掴み立ち止まらせる
そして、出窓の真っ赤な花を指さす

その花の中央部分に、くちゅっ、くちゅっ、、と、透明な液体が溜まってきている
そしてやはりこの花から、甘い香りが出ているのが分かる

「これ、、何だ?」
「分からねぇ、、でもさっきまでこんな風になっていなかったよな?」
「あぁ、、、」

そう呟いていると、つくしの甘い声が聞こえ始めた

「あっ、、あんっ、、」

「やべぇ、、、始めやがった」
「どうしたって言うんだよ」

と言いながら、二人は急いで玄関へ向かう
そして、脱兎のごとく飛び出した


バタンッ

と、閉めたドアに、二人は背中を預ける

完全におかしい
突然、甘い香りがしたと思ったら、二人が急に始めやがった

それまでは普通だったのに、、
いったい、何があったんだ?

ドキドキドキ……
心臓が激しく鼓動を打ち付ける


すると、、突然あきらの携帯が鳴り響く
それは、美作の機密情報部からの電話だ

「おっ、、やっと連絡が来たぜ」
と、あきらはその電話に出た



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