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さくらいろ

Happy Birthday 2017 前編

2017/03/30
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blog_import_5a9056c7d38af.gif こちらはヤフーブログにて2017.3.30に掲載した作品ですblog_import_5a9056c7d38af.gif





春独特の生温い風が、桜の香りを含んで彷徨い始めた頃、、
つくしは、だんだん近づいてくる類の誕生日に頭を悩ませていた

「何でも持ってるから困るのよ。 しかもどれも高級品だし。
私のバイトなんて、たかが知れてるし~」
と優紀に愚痴る

優紀も、いろいろとアドバイスを出すのだが、どうしてもこのセリフに戻ってしまうようだ

「あのね、、花沢さんだったら、何でも喜ぶと思うよ?」
「そうかなぁ、、」

「うん。 物じゃなくても『おめでとう』の言葉と、、」
「、、、と?」

「愛のこもったキスで充分」
優紀は、ウインクをしながら、小声でアドバイスする
だがつくしは、目を丸くし思わず大きな声を上げてしまう

「きっ、、、きす~~~」

途端、優紀がパッと両手でつくしの口を塞ぐ

「シッ! 声が大きい!」

つくしも、ごめんごめんと、目で合図を送り、優紀はそっと手を放す
そしてまた、小声で話し始める

「花沢さんは、何でも持っているから誕プレに悩むんでしょ?
だったら品物に拘る必要ないじゃない!」
「でも、、キスって////」

つくしは下を向き、指先を動かしながらもじもじする

「初めてじゃないんでしょ?」
「まっ//// まぁ、、ね////」

「つくしから、キスしたことは?」
「/////ない」

優紀は、キス一つでここまで真っ赤になるつくしを可愛いと思う
そしてこんなつくしを、花沢さんはすごく好きなんだろうと感じている

つくしは俯いたまま、ブツブツと呟いている事に気が付かない
優紀は、その呟きを微笑みながら耳を澄ませて聞いている

「キスって、そりゃ類からは、、その、、沢山? 貰ってるけど」

へぇ、、沢山、貰ってるんだ
まあそんな感じかなぁ?
言葉が少ない分、身体で表す?

「でも私から?って、どんなタイミングで?」

プッ! どんなタイミング?って、、
そんなの、、自然の流れでしょう?

「だって、身長差があるって言うか、、
類にキスとなると、踏み台がいるじゃない?」

あっ、、そうか
つくしから花沢さんにキスをしようとすると、花沢さんを屈ませる必要があるのね
でも、、踏み台って、、クスッ、つくしらしい

「あっ、、じゃあ誕プレに踏み台を、、って、何かそれって、キスすることが前提って言うか、、それに、全然可愛くない誕プレだし」

踏み台のプレゼントは、止めておくべきだと思う
それこそ、部屋の中なら、椅子の上に立ち上がるとか、外だとベンチの上に立ち上がるとか、、やろうと思えばいろいろと方法はあるんだから

「だいたい喜んでもらえて素敵で可愛くて、びっくりするような物をあげたいのに」

だからキスなのよ!
すっごく喜んでくれるだろうし、びっくりするだろうし

「キスって、、お金がかからないものだし、、喜ぶかなぁ?
そりゃ、出来るだけ安価な物が希望だけど、、キスって無料だよ?
それを誕プレにするなんて、、、」

お金がかからないけど、かなり嬉しい誕プレだと思うよ?
うん、、絶対にそれが良いと思う、、
頑張れ!!

と、いつまでもあれやこれや、、青くなったり赤くなったりと、結果が出せないつくしに、微笑みながらエールを贈り続ける優紀だった


**

夜になっても、煮え切らないつくし

キス、、そんな物をプレゼントにしても良いのだろうか?
そもそも、自分からキスなんて出来るのだろうか?

やっぱりここは、恋愛に聡い桜子にも、相談してみよう
と、思い切って電話を掛けてみた
ところが、、、

『優紀さんと一緒に、お茶をされたわけですね』
と、先ほどから優紀とお茶をした事を、ネチネチと弄る

「うん。 バイト帰りに、、少しだけね」
『少し? それって、5分ですか?10分ですか?』

「いや、、一時間ぐらい?」
『先輩の言う少しというのは、一時間もの時間なんですね』

「いや、、あのね」
『ずるいです。私なんて、その少しのお茶をする時間も貰えないんですよ?
休日には、花沢さんとのデートを優先され、平日には、バイトを優先され、
私なんて、、私なんて、、こうして気まぐれでしか電話をくださらないなんて、、、』

「ごめん、、でも気まぐれって言うんじゃなくてね
桜子にしか相談できないと言うか、桜子なら的確なアドバイスをしてくれると言うか、、」

つくしなりに、必死に桜子を持ち上げる
そうでもしないと、桜子のご機嫌がいつまでたってもなおりそうにないからだ

『わかりました。 
見え見えの持ち上げ方ですけど、、先輩のご相談に乗って差し上げます。
それで何なんですか?』

「うん、、あのね、、もうすぐ類の誕生日なんだけど、、」
『そうですね、、』

「それで、、プレゼントなんだけど、、、その」
と、言葉を濁す

自分からキスを、、という事が、どうしても恥ずかしくてならないのだ
でも桜子は、それをすばやく察する

『先輩をプレゼント、、ですか?』
「へっ? 私をプレゼント?」

思わぬ桜子の言葉に、つくしは暫し固まる

『そうです。 花沢さんは、何でもお持ちです。 
先輩は、何を買っていいのか分からないはずです。 
それに、先輩のアルバイト代は、たかが知れているはずです。
という事は、最終手段として、、、<私を食べて>と体を差し上げるぐらいしかないはずです』

<私を食べて>

そのフレーズに、つくしは真っ赤になる
キスどころではない
更にその数段上の階段を、この桜子は登れと言う

「むっ、、無理!」
つくしは、すぐに否定する

『何が無理なんです? 
だいたい、花沢さんとお付き合いされて、そろそろ一年が経とうとしているじゃないですか? 
普通、高校生でも半年も付き合っていれば、済ませますよ?』

「半年って、、、そんな////」
『そりゃ、初めては誰だって怖いと思いますよ? 
でも後世大事に残すような物じゃないはずです。
それに、好きな人と肌を重ねるという事は、すごく幸せなひと時だと思います。
お金以上に素晴らしいプレゼントになると思いますが、、違いますか?』

「違わない、、、けど、、」
『先輩! 本当に花沢さんの事が好きなんですか?』

「あっ、、当たり前じゃない!! 何言ってるのよ!」
『そうでしょうか? 
好きな人を、一年もお待たせするなんて、普通考えられません。 
まあ、花沢さんが先輩を大切にしているんでしょうけど、どれだけ我慢していらっしゃることやら』
と、飽きれた口調で告げる

「いや、、あのね、、そういう事をするって事は、裸を見られるって事じゃない?」
『そりゃそうですけど、、花沢さんは、貧相な身体の先輩を好きでいらっしゃるんですから、小さな胸でも大丈夫ですよ』

「あんたねぇ、、貧相な身体って、、まあそうなんだけど、、」
『私、嘘はついておりません。 先輩は、胸は小さいですが、それでも全体に細身ですからそんなもんなんです。自信を持ってください。
それよりも、早く体の関係を持ちませんと、、』 

「何? 早く体の関係を持たないと、、何だっていうのよ」
『花沢さんに捨てられる、、という事です』

その衝撃の言葉に、つくしは絶句する

「うっそ、、」
『嘘ではありません。一年もお待たせする方がおかしすぎるんです。
天下のF4ですよ?周りには、虎視眈々と狙っている女狐だらけですよ?
現に、西門さんと美作さんをご覧になって下さい。
毎日違う人と色々とやっているじゃありませんか、、
花沢さんは、先輩の事が好きですから今まで我慢してきましたけど、これ以上待てないと思いますよ?
理性を総動員して、必死に我慢していると思いますが、それでも自然現象と言いますか、やりたくなる日もあるはずです。
その時、先輩と関係を持っていない状態ですと、、』

「何? 体の関係が無いと、、何なのよ」
『お分かりになりませんか? 
先輩に隠れて、、他の女性に手を出すという事ですよ。
まあ、愛は無いでしょうから、体の火照りを沈める割り切った関係の女性、、と言えばお分かりになりますか?』

「つまり、、二股って事?」
『そういう事です。 
ですから、それを防止するためにも、誕生日プレゼントに<私を食べて>が一番喜ばれると思います。 
それでは、頑張ってくださいね』

それだけを告げ、桜子は電話を切った
もちろん桜子は、わざと発破をかけたに過ぎない
類が、つくし一筋だという事は分かっている
ただ、優紀とはお茶をする時間があると言うのに、自分は電話のみだったという事が、許せなかったのだ
だから、大袈裟につくしを煽った

そうとも知らないつくしは、携帯を見つめながら、、
キスから更にハードルが上がったプレゼントに、ドキドキが止まらない

それでも桜子の、、『体の火照りを沈める相手』の言葉が気になってしまう

確かに、、この一年、キス止まりで終わっている
そのキスも、、少しずつ段階を踏んで、、今では、、深いキスが出来るようになったところだ

そろそろ次の段階へ進むべきなのだろうが、どうしても勇気が出なかった
確かに桜子の言うとおり、誕プレを理由に、一歩踏み込んだ関係になるのも良いかもしれない

男性自身の体の火照りを沈める女性を作られるよりは、、自分の貧相な身体で、その火照りを沈めてほしい

だんだんと気持ちは、そっち方面へ向かっていく
キスよりハードルが高い、、初体験
でも、類とならそうなっても良いと思ってる

ううん、、類とそういう関係になりたい

よしっ、、
後世大事にとっておくものじゃないし、、

ここは、、女は度胸よ!!

頑張れ!!
あたし!!

つくしは、力強く拳を握った



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りおりお
Admin: りおりお
こちらは二次小説『類つく』のお部屋となっております
そういった類の物が嫌いな方は、回れ右をしてご退場ください
ヤフーブログ『類❤だ~い好き』から引っ越して参りました
引き続き類君とつくしちゃんの幸せな姿をお届けできればと思っております
尚、ブロ友は現在受け付けておりません
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